『蒼海訣戰』

「月刊コミックREX」にて連載中の作品です。

物語の舞台となる津州皇國は3種の人々から構成されており、主人公の三笠真清は、ネコミミとシッポが生えた「追那人」と呼ばれる人種です。彼らは、その独特な外見と少数民族であるがゆえに、大多数を占める秋津人から差別的な扱いを受けることが少なくありません。そんな中、真清は差別の目と戦いながら、士官の卵として、水軍の軍人を目指す、といったお話です。

一見、「可愛いネコミミ少年」というビジュアル面に目が行きがちだと思いますが、軟派な作品という訳ではありません。むしろ、軟派なのはあくまで外見だけで、内容は非常に深みのあるものという印象を受けました。特に、奥行きを感じさせる世界観や、水軍という舞台は興味深いですね。

主人公である真清は人種としてマイノリティであり、現在は逆境に置かれていますが、物語が進むにつれ、いずれはそれを克服するでしょうし、それを期待させるような魅力を持ったキャラクターだと思います。掴みは十分だと思いますので、今後はいかに、「主人公の成長」と「軍という舞台」を描いて行くかが焦点となるでしょう。

まだ始まったばかりではありますが、巻を重ねれば、漫画界の中で、面白い存在になりそうな気がします。

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『ブロッケンブラッド

人工的に作り出された魔女の子孫である主人公(♂)が、魔女っ子ヒロインに変身して悪(?)と戦う、といったお話です……。

塩野氏は、『ユーベルブラット』のようなシリアス路線の他に、『ネコサス・シックス』のようなギャグ路線も得意とされておられるのですが、この作品は見事なまでに後者の作品です。「魔女っ子」「女装」「コスプレ」「美少年」といった、玄人向けのファクターを1つにして、何とも形容しがたい脱力系の漫画を作り上げてしまう辺りに、作者の妄想力……もとい、発想力の豊かさを感じました。

画力も高く、サブキャラクターの特異性も印象的であると思います。息抜きにサラッと読むのに適した作品です。

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『シャーリー』

メイドブームを巻き起こした『エマ』の作者・森薫さんが、同人誌として発表した作品を単行本としてまとめた本です。13歳の若きメイドの奮闘を描いた表題作「シャーリー」、5歳の少年と子守役のメイドの日常を描く「僕とネリーとある日の午後」、変わり者の老子爵と相手を務めるメイドの平凡ならざる日々を綴った「メアリ・バンクス」、以上の3作品が収録されています。

『シャーリー』以前にもメイドが登場する作品はありましたが、それらにおいてはあくまで脇役としてであり、スポットライトが当てられることは決してありませんでした。掲載されている作品が発表された2000年当時、メイドが中心に据えられた作品は大変に珍しく、しかも、職業的な事実や、時代的な考証までなされたものは皆無でした。それだけに、本格的な内容が評価され、『エマ』へと繋がって行くことになったのは周知の通りです。

いずれの作品も、現在と比較しますと「若さ」を感じますが、この先幾年経とうとも、内容の輝きが失せることはないでしょう。メイド嗜好の有無にかかわらず、1つのエポックを作り出した名作として、今後も長く読み継がれて行くことでしょう。

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