オノ・ナツメさんの秀作『リストランテ・パラディーゾ(以下リス・パラ)』の外伝です。
この巻では、リストランテ(レストラン)ができるまでを描いた「カゼッタ・デッロルソ」のほか、カメリエーレ(ウェイター)の日常を描いた「ルチアーノ」「ヴィートの一日」、リストランテの向かいに住む一組の夫婦の再生のお話「ある夫婦」、開店一周年を記念したパーティーの模様を描く「一周年」、以上5編に、描き下ろしを加えた計6編が収録されています。
『リス・パラ』の主要キャラクターを軸に据えつつ、本編には登場しなかった、また詳しく語られることのなかった人物たちを絡め、人情味溢れたドラマが繰り広げられています。中でも、人生経験豊かなリストランテの面々の洒脱な会話が印象的で、一話ごとに、はっと考えさせられる言葉の存在があります。まさに「会話の妙」といった感じです。
オノさんの作品には、しばしば”ファミリー志向”が見られ、肉親や夫婦といった実際の家族や、血縁がなくとも家族同然、といった人物たちが多く登場するのが特徴ですが、『リス・パラ』の流れを汲む今作でも、その傾向が顕著に見られます。リストランテの面々のような、高い次元で意思の疎通ができている”ファミリー”は、多くの読者にとって理想、また憧れに映るのではないでしょうか。その辺りが、オノ・ナツメ人気の一つの要因かも知れません。
あくまで外伝ですので、『リス・パラ』本編が既読であることが前提となりますが、大人の方々にお勧めできる、良質で味わい深い作品であることは確かです。未読の方は、本編と併せて是非どうぞ。眼鏡好きな女性の方々にもお勧めですよ。