『覗いたビー玉』

覗いたビー玉
©:入江亜季 にら 2000
入江亜季さんの同人誌です。

ミチルは縁日で、目を閉じた奇妙なお面を手に入れます。彼には、時々、そのお面の眼が開いていることに気付きますが、他の人には見えていない様子。ところが、ミチルの家で、夜な夜な不思議な出来事が起こり始め、ある夜、お母さんがその正体を目撃してしまいます。それは、お面から成長した怪獣だったのです!

かなり突飛な展開である上に、奥付で作者さんが書いておられる通り、内容面で消化不良があります。一方、怪獣の正体なり、存在が象徴するものに関しては多々、解釈の余地があり、読み解く上ではなかなか興味深い作品である、とも言えます。

怪獣は、ミチルが眠っている間だけ活動すること、行動が人間の子供然としていること、成長してミチルと瓜二つの姿に変身したこと、最後にミチルと一体化したことが、作品から読み取れます。すなわち、怪獣は「ミチル少年の潜在的願望を具現化した存在」と捉えられると思います。

同人活動を通じて感じることですが、作者さんは少年や少女を動かすのが非常にお好きのようです。それはこの作品でミチルが表情豊かに描かれているところからも窺い知ることができます。

ちなみに、タイトルの”ビー玉”は、純粋な好奇心を持った眼を譬えたもののようです。恐竜のような姿をしたいかつい怪獣と、綺麗なビー玉とは、少々風変わりながらユニークで面白い取り合わせだな、と感じました。

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