
©水谷フーカ 司書房
水谷フーカさんの商業作品集第2弾、今回は単行本描き下ろし作品です。
航海の時代、冒険者グラーニにより新大陸「チュニク」が発見されてから十年後のこと。リンレという名の少年がチュニクで発見され、チュニク調査団の本国へと連れて来られます。当初、言葉さえ通じなかった少年と、彼の世話役を任されたグラーニの娘・マージは、努力の甲斐あって次第に心を通わせ始めるのですが、リンレが捜し求めているという”チュニクチュニカ”を巡り、隠された真実が次第に明らかにされて行きます。
奇を衒うことなく、素直な心持ちで描かれた作品、という印象です。前作『夜盗姫』と同様、水谷さんは多感な年頃の少年少女を描くのが本当に上手です。実際、マージの行動や表情を見ておりますと、驚くほどに揺らぎがなく、まっすぐです。そんなピュアさが、読んでいて何だかとても羨ましく思えます。
良いお話としてそつなく纏まっている分、逆に物足りなさを感じさせる面はあります。また、物語の終盤をもう少し丁寧に描写した方が良かったのでは、とも思いますが、描かれているものは十分にファンタジックで愉しいものでありました。ほっこりできる作品をお探しの方にオススメです。