主人公・笠間正宗は、留学を機に別れたと思っていた塚本陽子が、突然、事故で他界したという知らせを受け取ります。葬儀を訪れた正宗でしたが、会場で会った陽子の母から、思いもかけぬ話を聞かされます。「娘には実は五歳の娘がいて、父親はあなたなのだ」と。
突然の話に戸惑う正宗でしたが、陽子との思い出を心の中で大切に想い続けて来たこともあり、娘であるコハルと共に、新しい人生を歩き始めることを決断します。これは、一人の女性の思い出を共有する、一組の親娘のものがたりです。
大変、心に来るものの多い作品です。「お互いを深く思い合っていたのに、もう二度と会えない」という状況は実に寂しく、切ないものだな、と感じます。ただ、コハルの存在はまさしく未来への希望であり、正宗にとっても、また読者である我々にとっても、救済であるような気がします。
正直、「こんなに良くできた五歳の女の子がいるだろうか?」と思わなくもないのですが、コハルは実に愛すべきチャーミングなキャラだとも感じています。この辺り、作者さんに上手く乗せられてしまったのかも知れません。
でも、続きをゆっくりと見守りたい、と思う素晴らしい作品です。