
©:スイ
鳩 2008
女学校の教師であるナンシー・リードは、自身の生い立ちと、嘘に塗れた過去に苦悩する日々を送っていました。そんな彼女が、生徒の持っていた紙切れを切っ掛けに、”ストーリー・テラー”のイドの許を訪れます。穏やかながら、自らの醜い過去を見透かされたような彼の言葉に、ナンシーの心は揺り動かされます。
そんな折、学校で深刻な苛め事件が起こります。それが元で、親近感を持っていた女生徒が登校拒否を起こしてしまい、ナンシーは精神的に追い詰められてしまいます。真実の自分と、嘘で作り上げられた自分の狭間で、彼女は1つの大きな決断を迫られるのでした。
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コミティア83にて発行されたシリーズ第2弾。今作も「嘘と真実」がテーマです。
作中で語られる通り、ナンシーの少女時代はかなり悲惨です。生きるために罪を犯し、身を汚し、最後は自殺未遂まで起こします。しかし、女学校の校長との出会いによって、新しい人生を歩み、教師の職に就くに至ります。嘘は決して褒められたものではありませんが、「必要悪としての嘘」について、深く考えさせられる作品です。
細部で惜しまれる点もありますが、クオリティは総じて高いです。作画や画面構成は安定していてほぼ完成の領域、雰囲気の演出も印象的です。ほか、物語で「髪」がシンボリックな使われ方をしていて、演出としての面白さがあります。
また、生に執着しながらも、嘘を吐いてまで生きることに悩むナンシーの、実にアンビバレントな内面が、この作品の特異、かつ最も興味深い点ではないかと思います。発想力には、只々、感心するばかりです。
今作でも、陰のある女性を高い描写力で見せて呉れましたが、同人という媒体で、いつまでスイさんの作品を読めるのか、今はそちらの方が心配でなりません。