『Story of Carocheila 3rd "金雀枝"』

金雀枝
©:スイ  2005 カロチーラのお話の第3作目です。エニシダ、と題された作品です。

エニは、突然に行方不明になった恋人・ヴェイの帰りをひたすらに待つ日々を送っています。一方、彼女に恋心を抱くシダは、エニの「心ここに在らず」という虚ろな姿を案じつつも、見守ることしかできず、もどかしさを募らせています。そんなシダの心配をよそに、思い詰める余り食事もろくに摂らず、体調を崩して入院してしまうエニ。そんな折、ヴェイの遺品と思われる品が見つかり、エニはショックを受けて病院を抜け出してしまいます。果たして、彼女が向かった先とは?

恋人との思い出から抜け出せずにいるエニの”再生”の物語です。ストーリーはシンプルですが、エニの意外な行動がこの作品を興味深いものにしています。人間は思い詰めると、他人が予想だにしない行動に出ることがありますが、強い感情に基づく行動の凄みと同時に、内包する脆さを描き出している点に、物語作りの巧さを感じました。

エニが完全に過去から解き放たれたかどうかは兎も角として、希望を抱かせるラストシーンが美しく、印象的でありました。

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